この記事では、ジャカルタにある世界で3番目、東南アジアでは最大のモスク「イスティクラルモスク」を紹介します。
厳しい戒律で知られるイスラム教の神聖な礼拝堂であるモスク。
信者でない私たちが簡単に足を踏み入れてよいものかと戸惑ってしまいますが、イスティクラルモスクは他宗教との調和を象徴する建物でもあり信者以外にも広く門戸を開いています。
インドネシアは世界最大のイスラム教徒を抱える国で、国民の約9割がムスリムです。
観光客を対象としたガイドツアーも開催されているので、参加してみるとよりイスラム教への理解を深められるかもしれません。
筆者のおすすめ
日本人にとっては馴染みのない宗教、歴史とも複雑に絡みあっていたりして理解するのはなかなか難しいですよね。
でも、どんな宗教なのかどうやって生まれたのかを簡単に知るだけでも面白い。
実は、それぞれの宗教にはつながりもあったり、、、
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場所は、中央ジャカルタでモナスのすぐ東側です。
名称 | Masjid Istiqral |
住所 | Jl. Taman Wijaya Kusuma, Ps. Baru, Kecamatan Sawah Besar, Kota Jakarta Pusat, Daerah Khusus Ibukota Jakarta 10710 |
営業時間 | 4:00~21:00 |
定休日 | なし |
公式サイト | 見る |
電話 | +62 2138 11708 |
モナスから歩いて訪れることもできます。
また、イスティクラルモスクの向かいにはカトリックのカテドラル大聖堂があります。
服装
イスラム教では、女性は肌や髪が露出する服装はもちろん身体のラインが出る服装も禁止とされています。
インドネシア自体、そしてイスティクラルモスクも観光客の服装にはそれほど厳しくありませんが、露出が控えめな服を選びましょう。
髪やそでから出ている肌を覆うための羽織ものやストールは貸りることができるので、そのようなものを持参する必要はありません。
男性も短パンやノースリーブは禁止とされているのでそれらを意識した服を選びましょう。
インドネシアの宗教人口
インドネシアには様々な宗教が存在していることは知られていますが、ガイドさんの話によるとインドネシアの宗教人口の割合はイスラム教が90%、キリスト教が5%、ヒンドゥー教が3%、仏教徒が2%だそうです。
全体としてはイスラム教徒が多くを占めるインドネシアですが、世界的にも有名な観光地バリ島は住民の9割をヒンドゥー(バリヒンドゥー)教徒が占めており、文化や慣習や雰囲気までもが他の地域とは大きく異なります。
また、地域によっても信者の割合は異なり、以前マナドに行った際は教会がたくさんあり、イスラム教では食べることを禁じられている豚の頭が売られているのも見かけました。
写真は、北スラフェシ・マナド沖にあるブナケン島の教会です。
ガイドツアーへの参加方法
モスクの入口を入ってまっすぐ進むと男性用の入口が見えてきますがここを右に曲がります。
そうすると、もう1つ女性用の入口が見えてくるのでそちらに向かいましょう。
入口にはセキュリティが立っていて、観光客の対応にも慣れているので近くまでいけば声を掛けてもらえると思います。
ガイドに参加したい旨を伝えて、靴を脱ぎ指定の待合所に向かいましょう。
ここで、ガイドに参加するための簡単な個人情報の登録を行います。
ガイド時間は20~30分ほどです。
脱いだ靴は、待合所に置いておけるので館内を持ち歩く必要はありません。
敷地の入口は、東側のメインゲート(カテドラル大聖堂の向かい)のみ解放されています。
因みに、ガイド料は無料ですが、お礼も込めてガイド後に10.000~20.000ルピア程度のチップをガイドさんに渡すのがいいかなと思います。
イスティクラルモスクの見どころ
全体
イスティクラルモスクは、1945年にインドネシアがオランダからの独立を果たした後、ジャカルタ住民の祈りの場・誇りの場となるモスクを作るという目標を基に建設されました。
そのため、建物のいたるところに独立を表す作りが見られます。
何度もその横を通りすぎたことがある方は多いかもしれませんが、実はイスティクラルモスクは世界で3番目・東南アジアでは最大のモスクで、収容可能な人数は20万人です。
イスティクラルモスクの建設場所は現在の場所以外にも候補があったそうです。
なぜ現在の場所が選ばれたのかというと、すぐ近くにカトリックのカテドラル大聖堂があったからだそうです。
あまり知られていませんが、イスティクラルモスクの近くにはもう1つプロテスタントの教会が存在しており、他宗教との調和を表すシンボルとなっているそうです。
政治情勢の影響を受けて建設がストップした時期などを乗り越え、1978年2月22日に約17年の歳月をかけてイスティクラルモスクは完成しました。
祈祷スペース&大きなドーム
ガイドツアーでは祈祷スペースに直接足を踏み入れることはできませんが、階段を登った2階から祈祷スペースを見渡すことができます。
派手さはないとてもシンプルなデザインですが荘厳な雰囲気に圧倒されます。
まず、目に入るのが屋根にあるドーム型の天井です
このドームの直径は45メートルで、インドネシアの独立記記念年1945年の「45」を表しています。
内側から見ることはできませんが、このドームの天井にはイスラム教のシンボル「星と三日月」が設置されており、その長さは17メートルあります。
これもインドネシアの独立記念日8月17日の「17」を表しています。
ドームを支えるように建てられている柱は全部で12本あります。
これはイスラム教の預言者ムハンマドの誕生日を表しているそうです。
祈祷スペースは向かって右側が男性用、左側が女性用のスペースになっていて、入口も男女で異なります。
建物の階層
モスクの中に入ってみると、建物が5階建てになっていることがわかります。
これは、建国5原則「パンチャシラ」の5原則とイスラム教の5回の礼拝時間、イスラム教の5つの戒律を表しています。
パンチャシラ
①唯一神(アッラー)への信仰
②公正で文化的な人道主義
③インドネシア統一
④議制と代議制における英知に導かれた民主主義
⑤全インドネシア国民に対する社会的公正
5回の礼拝
①日の出前
②正午ごろ
③夕方
④日没後
⑤寝る前
イスラム教徒は、1日5回メッカの方角へ向いて礼拝をします。
イスラム教の5つの戒律
①信仰告白
②礼拝
③喜捨
④断食
⑤巡礼
小さなドーム
建物の中から確認することはできませんが、大きなドームの横にもう1つ小さなドームがあります。
これは、直径8メートルで、インドネシアの独立記念月8月を表しています。
高いタワー
イスティクラルモスクの敷地には高いタワー状の建物があります。
これは、唯一神への信仰を表しています。
高さは6,666センチメートルでコーランの聖典の節数を、頂上にある30メートルの柱はコーランのjuz(巻)を表しています。
モナスが建設される前は、ジャカルタのランドマークだったそうです
広大なレンガ作りの広場
建物から外に出ると廊下の横に広大なレンガ作りの広場があります。
ここから、カテドラル大聖堂やモナスとイスティクラルモスクの2ショットを撮ることができます。
床を見てみるとキレイに線が引かれています。
実はこれは1人用のお祈りスペースで、建物に収まりきらない場合はここが使われます。
時間を知らせる太鼓
インドネシアのイスラム教と関係が深い太鼓ですが、これはインドネシア特有の文化で時間を知らせるのに使われていたそうです。
巨大な太鼓は1本の木をくりぬいて作られています。
また、太鼓を支える柱の部分にはヒンドゥー教と仏教の影響を受けた彫刻が見られ、ここにも他宗教との調和が現れています。
まとめ
なかなか訪れないでいたイスティクラルモスクですが、知ってみると本当に考え抜かれて作られた建物であることがわかりました。
見た目もとてもシンプルなので、行かずしてその魅力に気づくのは難しいかもしれません。
実際に訪れて、その雰囲気を肌で感じてもらえたらなと思います。