こんにちは、インドネシア在住のLili(yns121072020)です。
この記事では、インドネシア渡航前に受けるべき予防接種と実際にインドネシアに住んでみて感じるそれぞれの予防接種の重要性をあわせて紹介します。
インドネシアでは様々な病気に感染するリスクがありますし、医療水準も決して高くはありません。
できる限り推奨されている全ての予防接種を受けることをおすすめします。
外務省が推奨している予防接種
インドネシア渡航者へ外務省が推奨している予防接種が下記の7つです。
- A型肝炎
- B型肝炎
- 狂犬病
- 腸チフス
- 破傷風
- 日本脳炎
- MRワクチン
詳しい情報は外務省ホームページで確認することができます。
予防接種の重要性、回数と費用
A型肝炎
感染経路 | ウイルスが付着した食べ物や飲み物 ウイルスは便中に排出される |
症状 | 発熱 だるさ 食欲不振 吐き気 嘔吐 黄疸 |
治療 | 安静にする |
蔓延地域 | 下水道の整備が整っていない発展途上国 |
重要性
インドネシアは、まだまだ衛生環境が良いとはいえません。
水道水は飲むことができず、口にするものには注意が必要です。
感染の可能性が大いにあります。
予防接種の回数
計3回(初回、1か月後、半年後)
1回の費用
約7,700円
B型肝炎
感染経路 | 性行為や不衛生な医療器具 ウイルスが血液や体液を介して感染する |
症状 | 倦怠感 食欲不振 吐き気 嘔吐 腹痛 黄疸 発疹 関節痛 慢性化し肝硬変や肝臓癌になることもある |
治療 | 急性:症状を和らげる治療 慢性:抗ウイルス剤による治療 |
蔓延地域 | 世界中 |
重要性
無防備な性行為をしない、海外でタトゥーやピアスを開けないなどある程度は自分の意思で感染を防ぐことができます。
ただ、交通事故や病院での医療行為が避けられないことになった場合に注意が必要です。
現地で何があるかわからないので、予防接種を打っておいた方が安心です。
予防接種の回数
計3回(初回、1か月後、半年後)
1回の費用
約5,500円
狂犬病(暴露前接種)
感染経路 | 感染動物に噛まれたりひっかかれたり、傷口や粘膜をなめられる ウイルスは唾液に含まれている |
症状 | 発熱 頭痛 全身倦怠感 嘔吐 恐水症 恐風症 昏睡状態となり呼吸が麻痺して死亡 |
治療 | 暴露後ワクチンを接種する |
蔓延地域 | アフリカ アジア 中南米 |
重要性
狂犬病は発症すると治療法がなく、ほぼ100%死亡する怖い病気です。
狂犬病という名前であることから犬から感染すると勘違いされがちですが、狂犬病は全ての哺乳動物が感染します。
犬はもちろん、猫やコウモリ、野生動物に注意が必要です。
感染の可能性がある場合は、すみやかに病院で暴露後接種を受け発症を抑える必要があります。
予防接種を受けていても感染の可能性がある場合には暴露後接種を受ける必要がありますが、予防接種を受けておくことで受けていない場合に比べて発症のリスクを抑えることができます。
予防接種の回数
計3回(初回、1週間後、21~28日後)
1回の費用
約11,000円
腸チフス
感染経路 | 菌が付着した食べ物や飲み物 菌は便や尿に排出される |
症状 | 高熱 頭痛 全身のだるさ 発疹 便秘 重症化すると腸から出血したり穴があく |
治療 | 抗生物質を服用 |
蔓延地域 | 衛生水準の高くない地域 |
重要性
インドネシアは、まだまだ衛生環境が良いとはいえません。
水道水は飲むことができず、口にするものには注意が必要です。
感染の可能性が大いにあります。
予防接種の回数
1回
1回の費用
約10,000円
破傷風(DPTワクチン)
感染経路 | 傷口から破傷風菌が体内に侵入 |
症状 | からだのしびれや痛み 呼吸困難に陥り死亡 |
治療 | 血清・抗菌剤の投与 |
蔓延地域 | 世界中 |
重要性
インドネシアで生活していて日本よりも怪我のリスクがあるかと言われれば、日常生活を送る分にはそんなことはありません。
ただ、破傷風菌は世界中の土壌の中に存在する菌で、日本でも毎年感染者が出ているので予防接種は打っておくべきだと思います。
不衛生な医療施設で医療行為を受けることで感染することもあるようです。
インドネシアの医療水準は決して高いとは言えません。
インドネシアで病院にかかる場合は、外務省HPで紹介されている病院をおすすめします。
予防接種の回数
追加接種1回
1回の費用
約4,500円
日本脳炎
感染経路 | 感染した蚊にさされる ウイルスは豚の体内で増殖する |
症状 | 高熱 頭痛 嘔気 嘔吐 意識障害 けいれん 異常行動 筋肉の硬直 後遺症が残る可能性がある |
治療 | なし |
蔓延地域 | アジア |
重要性
感染しても症状がでないひとがほとんどのようですが、重症化すると死亡したり後遺症が残ったりすることがあるので、そのリスクを考えると打っておいた方が安心だと思います。
特に田舎などの農村部に滞在される方は打っておくことをおすすめします。
予防接種の回数
追加接種1回
1回の費用
約6,700円
MRワクチン(麻疹・風疹)
麻疹 | |
---|---|
感染経路 | 空気感染 接触感染 飛沫感染 |
症状 | 発熱 咳 鼻汁 結膜充血 発しん まれに肺炎や脳炎になる |
治療 | なし |
蔓延地域 | 世界中 |
風疹 | |
---|---|
感染経路 | 空気感染 接触感染 飛沫感染 |
症状 | 発熱 発しん リンパ節腫脹 まれに脳炎になる 妊婦が感染するとこどもに障害があらわれる可能性がある |
治療 | なし |
蔓延地域 | 世界中 |
重要性
インドネシアではワクチン未接種のこどもが多く、常時発生している病気です。
感染力がとても強く、免疫がないひとがウイルスに接触するとほとんどの場合感染します。
こどもよりも大人のほうが重症化しやすいといわれており、合併症を引き起こして死に至る可能性もあります。
先進国では死亡することはほとんどありませんが、もしかかった場合のインドネシアの医療環境を考えると打っておいた方が良いと思います。
予防接種の回数
追加接種1回
1回の費用
約9,000円
※ワクチンの種類によっては、今回紹介した内容と打つ回数が異なる場合があります。また、費用についても病院によって差がありますのであくまでも目安の金額となります。
予防接種スケジュール
持ち物
予防接種を受ける際は、下記の持ち物を忘れずに持参しましょう。
- 母子手帳
- 予防接種歴の記録用紙(2回目以降)
母子手帳の予防接種記録を見てお医者さんがスケジュールを組んでくれるので、初回は必ず持っていきましょう。
また、1回目の予防接種でもらえる記録用紙に2回目以降の接種歴も記録するので、2回目以降は忘れないように持参しましょう。
予防接種スケジュール(筆者の場合)
私の場合は、下記のようなスケジュールで予防接種を受けました。
期間 | 打った予防接種 | 備考 |
---|---|---|
初回 | A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン | 輸入/未認可 |
狂犬病ワクチン | 輸入/未認可 | |
DPTワクチン (破傷風、ジフテリア、百日咳) | 追加接種 | |
日本脳炎ワクチン | 追加接種 | |
血液検査 | 麻疹抗体検査 | |
1か月後 | A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン | 輸入/未認可 |
狂犬病ワクチン | 輸入/未認可 | |
MRワクチン (麻疹・風疹) | 追加接種 | |
半年後 | A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン | 輸入/未認可 |
A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン
A型肝炎・B型肝炎混合ワクチンは、A型肝炎ワクチンとB型肝炎ワクチンが混合された輸入ワクチンで、B型肝炎ワクチンが国内ワクチンよりも多く含まれています。
B型肝炎の免疫は年齢とともにつきにくくなるので、免疫がつきにくくなる30歳以上で混合ワクチンの接種が推奨されています。
私は、予防接種を受けた当時は25歳だったのですが、最初からスケジュールは混合ワクチンで組まれていました。
輸入ワクチンということで少し不安を感じたのでお医者さんに確認したところ、確実に免疫をつけるには混合ワクチンの方が良いという説明を受けました。
また、多くの方が接種しているワクチンでお医者さんの知る限り重篤な副作用が出た方はいままでいないということだったので接種することにしました。
このワクチンは国内未認可の輸入ワクチンです。
輸入ワクチンについてはこの先で解説していますので、そちらをご覧ください。
予防接種後の体調
私の場合は、1回目に4つ・2回目に3つの予防接種を受けました。
3回目は一時帰国時に1つ予防接種を受ける予定です。
複数打つ場合は、両腕にわけて連続してどんどん打っていくので数秒で全て打ち終わります。
ワクチンの種類によっては結構痛みが強いものもあり、打ち終わった後は腕が重たい感じがしました。
お風呂は当日から入ってOKとのことでしたが、激しい運動は控えるように言われました。
次の日から数日間は、横向きになって寝るなど力を加えると感じるくらいの痛みがありました。
私が、1番感じた症状はからだのほてりです。
周囲のひとがそんなに暑くないという環境でも、とにかくずっと暑くて顔が赤くほてり、その症状が接種から2日後くらいまで続きました。
輸入ワクチンについて
私の場合は、2つ国内未認可の輸入ワクチンを打ちました。
打つ前に同意書にサインをしなければいけないのですが、同意書を前にして私は少し不安になったのでお医者さんに輸入ワクチンのデメリットについて確認してからサインしました。
輸入ワクチンのデメリットとしては、予防接種を受けてもしものこと(死亡する、障害が残るなど)があった場合の国の保証がないことです。
お医者さんの説明では私が打った2つの輸入ワクチンは多くの方が接種しており、お医者さんの知る限り重篤な副作用が出た方はいないということだったのでそのままサインをして予防接種を受けました。
また、狂犬病ワクチンに関しては国内ワクチンがなかったので打つならば未認可の輸入ワクチンでした。
ワクチンの種類によっては未認可・輸入ワクチンを打たざるを得ないものもあるので、不安な方はしっかりお医者さんに確認した上で予防接種を受けることをおすすめします。
予防接種を受ける時に注意すること
お医者さん任せにしない
私の場合は、推奨されている予防接種の中で腸チフスの予防接種だけ打っていません。
お医者さんが組んでくれたスケジュールに腸チフスの予防接種が入っていなかったからです。
打つことを推奨されていることは知っていたので少し疑問に思いましたが、腸チフスの予防接種の重要性について詳しく把握していなかったので、お医者さん任せで結局そのままにしてしまいました。
腸チフスは衛生環境のよくない地域の食べ物や飲み物から感染しますが、インドネシアでは感染の可能性が大いにあるので打っておけばよかったなと後悔しています。(実際にかかっている人がいます。)
後で分かったことですが、夫も同じ病院で予防接種を受けており同じように腸チフスはスケジュールに入っていなかったので、自分で追加していたようです。
病院の方針により予防接種の内容が違っている場合があるので、推奨されている予防接種の種類と重要性を事前に確認しておくことをおすすめします。
そして、少しでも疑問があればその場でお医者さんに確認するようにしましょう。
早めに病院に通い始め、渡航までに全ての予防接種を完了させる
渡航までに余裕のある方は、早めに病院に通い始め渡航までに全ての予防接種を完了させるのがおすすめです。
私は、夫の赴任が決まってから渡航までに5か月しかなかったのでギリギリ3回目の予防接種は間に合いませんでした。
現地の病院には極力かかりたくないので一時帰国時に3回目の予防接種を受ける予定でいますが、新型コロナウイルスの影響で予定通り一時帰国できるか怪しい状況です。(2020年3月末現在)
1年以内に3回目の予防接種が必要だとお医者さんに言われているので、一時帰国できなかった場合は現地で受けることになりそうです。
思わぬ出来事で一時帰国できなくなる場合やタイミングを逃すと次の帰国まで時間がかかってしまうこともあるので、余裕があれば半年前くらいから病院に通い始め渡航までに予防接種を全て完了させるのが良いと思います。
まとめ
予防接種は病気を予防する上でとても重要です。
なかには予防接種を受けていない方もいますし、受けていなくても病気にならなかったという方もいるかもしれません。
ですが、大丈夫とは思わずに“もしも病気にかかってしまったら”ということを考えて、できる限り予防接種を受けてほしいと私は思います。
インドネシア渡航者へ外務省が推奨している予防接種が下記の7つです。
- A型肝炎
- B型肝炎
- 狂犬病
- 腸チフス
- 破傷風
- 日本脳炎
- MRワクチン